直腸子宮内膜症は切除しなくてもいいのか?

★その1

骨盤痛に関しては直腸の子宮内膜症病巣は残ったままでもよいという意見も少なくない。実際のところどうなのだろう?まずは骨盤痛について考えてみる。子宮内膜症があるとなぜ痛いのか?

1.仙骨子宮靭帯の病巣
Chapronのグループの報告では、深部病巣の局在を検討したところ仙骨子宮靭帯が約60%、膣20%弱、膀胱10%、腸管10%強となっていたとのことだ。これはフランスの報告なので、日本人のものとは若干異なると思う。(日本人では膀胱や尿管の子宮内膜症は少ないが直腸は多め。)しかしながら仙骨子宮靭帯に深部病巣がみとめられることが多いのは、日本も海外も同じようだ。

仙骨子宮靭帯やその周囲には骨盤神経叢が走っており、子宮の知覚神経も当然その中にある。そんなところに子宮内膜症病巣があって毎月のように病巣で出血や炎症を起こせば・・・

そりゃ、当然痛いですわぁ・・・

月経痛に対しては仙骨子宮靭帯切断(LUNA)という術式もある。しかし、子宮内膜症の骨盤痛に対しては有効性が証明されていない。仙骨子宮靭帯に病巣があるのなら切除しない限り痛いはずだ。現在、私はLUNAをしていないが、過去の経験では子宮内膜症がある場合、約半数にはあまり効果がなかった。LUNAはあまり意味がない。

それじゃ、仙骨子宮靭帯病巣はどうするのか?当然、病巣は切除しなければならない。病巣を十分切除しなければ痛みも十分とれない。仙骨子宮靭帯の病巣は排便痛や性交痛とも強く関連しているので、ここの病巣を十分切除するのは大事だ。

病巣を切除しているときに骨盤神経叢も部分的に切除しているのがわかることがある。男性だったら大変なことだが(うっ、性機能が・・・)、女性の場合問題はない。病巣が非常に深く、広汎な切除を必要とする場合には一次的に尿閉になることがあkるが、子宮癌に対する広汎子宮全摘術に比べれば軽度なものである。

ときどき、”靭帯”を切除してしまっていいのでしょうか?"と聞かれることがあります。仙骨子宮靭帯は子宮を支えている靱帯だから、子宮脱になることは・・・ありえる。

一昨年のマレーシアにおけるISGE(国際婦人科内視鏡学会)でHarry Reichの講演中に質問が出た。「脱にならないのか?」

Reichは「子宮内膜症は脱にはならない。決してなることはない」と答えていた。詳細は覚えていないが、私もかなりラジカルな子宮内膜症切除をしても性器脱を経験したことはない。おそらく子宮内膜症では直腸腟中隔や基靭帯(子宮動脈や静脈の付近)で、ある程度繊維化が起こっていて性器が下がりにくいのだろう。

話が脱線してしまった。

私は仙骨子宮靭帯の病巣をできるだけ切除すれば、骨盤痛の6〜7割は解決すると思う。それじゃ、直腸の病巣はそのままでいいじゃないかって?

重症例ではダグラス窩が閉鎖して、仙骨子宮靭帯と直腸は強く癒着している。どこから仙骨子宮靭帯でどこからが直腸かわかりにくく、癒着を剥離している途中で仙骨子宮靭帯や骨盤神経叢の一部が直腸側に残ってしまうこともある。そうなると遅かれ早かれ骨盤痛は再発してしまうだろう。できるだけ病巣を切除しようとすると直腸の表面を削らなければならない。

★その2

直腸周囲の子宮内膜症による骨盤痛について考えてみる。

2. 直腸の深部病変
前回述べたように子宮内膜症の深部病変は仙骨子宮靭帯だけでなく直腸にもできることがある。直腸筋層に子宮内膜症が浸潤していることもあるし、直腸筋層内に結節性病変ができていることもある。深部病変はボリュームとしては大きくなるので、プロスタグランディンの産生が多くなり月経痛が強くなるのだろう。直腸全層切除や低位前方切除の後は月経痛は非常に軽くなる。

逆に直腸病変が広汎に残った場合、月経痛は改善しても腰の重い感じが残ることは少なくない。病巣が残れば症状も残ってしまう。長期予後も悪くなるかもしれない。とはいうものの、切除しようとすれば全層切除(穿孔)のリスクはある。それがイヤなら手をつけないほうがいい。

★その3

3. 腹膜病変
腹腔内に子宮内膜症の腹膜病変、とくに透明病変や赤色病変があると炎症がおこって月経痛の原因になる。これらは、ふつうダグラス窩、広間膜後葉、仙骨子宮靱帯などにできるが、子宮や直腸表面にもしばしばみられる。腹膜病変は電気焼灼やレーザー蒸散することによって治療することができる。しかし、腸管表面の病変を切除するのなら削るように切除するのが普通だ。(焼いてはいけない。術後に腸管穿孔をおこしてしまうかもしれない。)

直腸の腹膜病変(厳密にいうなら直腸漿膜の病変)であるならば、直腸漿膜を薄く削ればよいだけなので切除するのは決して難しい操作ではない。直腸穿孔のリスクは低い。しかし、削りはじめてから直腸筋層に深部病変があることに気付くこともある。全層切除になる可能性は常に考えておかなくではならない。

ただ、直腸漿膜に病変があるときには、他にも広範に腹膜病変があることがあり病変は残ってしまう。どうせ残ってしまうなら直腸に少しくらい残っても同じだろう。そういう意味では手をつけないのも選択肢のうちの一つである。

★その4

4. 年齢
痛みについて考えることは病変についてだけではなく、年齢も考えなくてはならない。一般に痛みだけで考えてみると年齢が高いほうが予後がよいと言われている。20代の若い女性では腹膜病変では炎症が強い透明病変や赤色病変が多く、月経が30年くらいは続くことを考えれば管理はやっかいだ。しかし、30代後半〜40代女性になると10-15年程度で閉経になるのでそれまでのことを考えれば痛みは管理できる。

しかし、40代女性では、癒着も強固で(経過が長いためか?)病巣の繊維化が進んでいることが多い。手術自体は非常に困難なことがある。一方、20代女性の場合は深部病変の繊維化は比較的軽く、切除しやすいことが多い。これらから考えると、40代女性の場合には多少は残ってもよし、20代女性の場合にはできるだけ攻めるというのも一つの戦略ではないかと思う。

★その5

前回まで直腸子宮内膜症について骨盤痛の点から考えてみたので、今回は腸管の狭窄について考えてみる。

重症子宮内膜症だからといって腸管が必ずしも狭窄しているわけではない。腸管狭窄例は手術に対象となるもののうち、約3-5%程度ではないかと思う。それに、腸管表面の子宮内膜症を放置したからといって、すぐに腸管が狭窄してしまうということはない。

しかし、子宮内膜症は閉経まで続く経過の長い疾患である。20-30代女性で腸管におよぶ子宮内膜症を残した場合、その後、腸管を狭窄したり腸管内に浸潤していくような病変に進行していくかもしれない。

私が腹腔鏡下手術をした方(40代、癒着剥離のみ、直腸子宮内膜症の切除はせず)が、5年後に骨盤痛の再発と便秘で来院した。内科で大腸内視鏡検査をしたところ直腸粘膜面に一部子宮内膜症が浸潤していたのだ。この方は幸いにも閉経が近くなっており症状も軽度なので経過観察することにした。

直腸表面の子宮内膜症を放置した場合、長い経過のうちに、このように狭窄をきたしたり直腸内腔まで浸潤してくるケースがあるのだ。もちろん、狭窄を予防するために腸管を切除するというのはおかしな話と思う。しかし、病変をできるだけ切除して遺残を最小限にできれば、術後は子宮内膜症による骨盤内炎症も最小限になるので(子宮内膜症の進行も止まり)将来的な狭窄を予防することができるかもしれない。

★その6

前回は腸管の狭窄について考えた。他には下血などもある。腸閉塞や下血の症状がなければ、なかなか積極的には腸管の切除まですることは考えにくい。悪性化も一応考えておかなければならない。最近、卵巣チョコレート嚢胞の悪性化が指摘されるようになってきた。婦人科癌の専門家がある程度の基準を設けて卵巣チョコレート嚢胞は手術すべし!(卵巣を摘出)、という発表をしている。

子宮腺筋症と子宮体癌との関連を指摘するものもある。また、腸管の類内膜腺癌の報告もある。私の経験ではダグラス窩の子宮内膜症が悪性だった(初期の子宮体癌合併だったが)ものもあった。ちなみに病理医によれば子宮体癌とダグラス窩の腺癌は発生が別ではないか、とのことだった。

重症子宮内膜症は慢性的な強い炎症を起こしているので、(とくに深部病変は)癌化と関連するのも理解しやすい。10-20年も前には、卵巣チョコレート嚢胞の悪性化はほとんど指摘されていなかった。これから、10年後、20年後にはチョコだけではなく、腹膜、腸管の子宮内膜症や子宮腺筋症の悪性化が問題になっているかもしれない。

もちろん、だから子宮内膜症は切除すべしと言っているのではない。ただ、可及的にdebulking(子宮内膜症の病巣を減量させること)することが腹腔内のさまざまな臓器の癌化を抑制しているかもしれない・・・と漠然と考えている。どうだろう?

少なくとも10-20年以上経たないと結論は出ないだろうと思うが。

★その7

骨盤痛、狭窄、悪性化などの問題について考えたが、今回は妊孕性の点から考えてみる。腹膜病変については、切除、焼灼し、腹腔内を十分洗浄することで、術後に妊娠しやすくなることが明らかになっている。腹腔鏡下手術の術後1年くらいは(妊娠のための)ゴールデンタイムである。

深部病変の切除が妊孕性の向上にどのように寄与するのか、あまりわかっていない。ところが最近、それに関する報告*がでてきた。(*Fertility after laparoscopic colorectal resection for endometriosis: preliminary results. Fertil Steril. 2005 Oct;84(4):945-50.)

これによると、腸管切除(区域切除)した22例の挙児希望例のうち10例が術後に妊娠していたとのことだ。(平均観察期間24ヶ月)また、妊娠しなかった12例では子宮腺筋症が有意にみとめられた。RCT(randomized controlled trial)でないので何ともいいがたいが、重症子宮内膜症でもこれだけ妊娠するというのはかなりの好成績に思える。つまり、深部病変を切除することにより妊孕性は上がるということだろう。

C.H.Kohも講演で3回体外受精が上手く行かなかった重症子宮内膜症症例で腸管切除した後、体外受精に成功した例を紹介している。

しかし、この報告*の著者の別の論文をみてみると区域切除を40例施行し、開腹移行例が4例、他に合併症では直腸腟瘻が3例、骨盤内膿瘍が1例、一過性排尿障害が7例となっている。手術により骨盤痛、狭窄だけでなく妊孕性まで改善しているようなので手術をする価値は十分あると思うが、合併症については十分考慮しておかなければならない。

今回の結論は(あくまで予想であるが)
・深部子宮内膜症病変を切除することで妊孕性は向上する。
・子宮腺筋症が残っていると妊孕性は向上しない。
・子宮腺筋症の切除は妊孕性の向上にどのように関係するかわかっていない。
(私は腺筋症切除で妊娠しやすくなるという印象を持っている。)
ということでいいと思う。

★その8

今まで直腸子宮内膜症を切除するメリットについて考えてきた。今度はデメリット、とくに合併症について考えてみる。

子宮内膜症が他の手術と異なる点はダグラス窩、子宮、直腸が癒着していることだ。しかも時にはその癒着は非常に強固で剥離するのが困難なことが多い。癒着剥離中に直腸を傷つけてしまう(直腸損傷)こともある。確実に修復するためには解剖学的な構造がわかるよう癒着剥離しておかなければならない。

もし、癒着剥離と結紮縫合が腹腔鏡下で十分にできないのなら開腹に変更せざるをえないだろう。それだけならまだいいが、大きな損傷を生じたり、解剖学的な構造が全然わからないようであれば、外科医は修復より一時的な人工肛門造設を勧めることもある。重症子宮内膜症を安全に手術するためには、術前に腸管を十分洗浄させておくこと、繊細な手術操作や癒着剥離、結紮縫合などの高度なテクニックが非常に重要である。

他の合併症としては、術後腸管穿孔がある。術後数日〜一週間くらいで起こるらしい。急激な発熱、腹痛で発症するそうだ。小さな穿孔であれば保存的に経過観察することもできるが、緊急手術を施行して一時的に人工肛門を造設しないといけなくなることもある。こうなると命にかかわる合併症となりうる。

原因としては、剥離操作や子宮内膜症の切除後に直腸表面が薄くなっているのに気がつかなかったこと、パワーソース(電気メスなど)を使いすぎて直腸表面に熱損傷が起こってしまったのを放置したということが挙げられる。直腸表面が薄くなっていても丁寧に縫合修復しておけば普通は問題ないはずだが・・・

とくに剥離が中途半端で終わってしまったとき、しばしば直腸表面を削っていることに気がついていないことがある。剥離できないのでこの辺で止めとこうか?なんてのは意外と危険だったりする。(薄くなっていても気がつかない)

もちろん、繊細で丁寧な手術操作を心がけ、腸管が薄くなってしまったところを確実に修復していれば、簡単に起こるような合併症ではない。

★その9

前回は直腸穿孔が起こった場合や全層切除、半層切除、癒着剥離などで起こりうるトラブルについて触れた。今回は、腸管切除(いわゆる区域切除、低位前方切除)を施行した場合の合併症について考えてみる。

低位前方切除の合併症として縫合不全、吻合部狭窄、術後腸管穿孔、腹腔内膿瘍、直腸膣瘻などがある。他に、癒着による腸閉塞や排尿障害などもある。腹腔鏡下手術では腸閉塞のリスクは低く、排尿障害はかなり深部の子宮内膜症を切除しない限り起こりにくい(大腸癌の手術じゃないから周りの組織を含めて大きくとるということはないのだ)。

○縫合不全
直腸低位前方切除では直腸からS状結腸の一部を切除しますので肛門側と口側の腸管を器械で吻合する。(端々吻合)円周状に針の出るステープラーを使う。

器械を使うのでトラブルがなさそうに思えるが、縫合不全は起こりうる。直腸癌やS状結腸癌の縫合不全は、報告者によってことなりますが、1〜15%くらいである。(かなり異なる。たぶん、定義が多少違うのだろう。)縫合不全は術後1週間以内に起こることが多く、術後2週間後にはほとんど起こらない。

消化器外科医によれば、縫合不全を起こしたからといって全てが再手術→人工肛門造設というわけではなく、保存的に経過観察できるもののほうがずっと多いそうだ。ただし、瘻孔がふさがるまで絶食、中心静脈栄養としなくてはならない。(一ヶ月以上かかることもあるそうだ。)

○吻合部狭窄
吻合部が狭窄を起こして、便の通過性が悪くなってしまうことがある。原因としては吻合部の血行が悪くなってしまうためだろう。吻合部に緊張がかかっていたり、感染を起こしたりすると起こりやすくなるのではないかと思う。

閉塞を起こすほどの狭窄もまれにあるらしい。しかし、狭窄自体はあまり起こらないそうだ。それに、狭窄した場合には機械的に拡張して保存的に治療できることが多いと聞いている。

○腹腔内膿瘍
膿瘍の原因は縫合不全による小さな瘻孔による感染だろうと思われる。普通、手術で留置したドレーン(とくに閉鎖式ドレーン)が効果的であれば保存的に経過観察することができる。

★その10

○直腸腟瘻
直腸膣瘻は、直腸と膣の間に瘻孔ができてしまうものである。子宮癌における放射線治療後や子宮全摘術後にしばしば見られることがある。子宮内膜症手術では直腸膣中隔に病巣があるときにはリスクが高くなると思われる。

発症時期ははっきりいつ頃とは言えないのですが、どちらかといえば遅発性のものであり、術後2週間以降となることが多くなるようだ。

この合併症はAAGL2005の報告でDr. Perieraが述べたように病巣が低位にあればあるほどリスクが高くなる。また、2004年のAAGLでケンタッキーの医師が膣壁に浸潤するような深部子宮内膜症に低位前方切除と膣壁切除を3例にしたところ、直腸腟瘻が1例でみられたと報告していた。

病変がRs*, Ra*にあれば、このような合併症の発生は非常に少ないと思われる。一方、Rbに病変がある場合(つまり、肛門側に近いところまで浸潤した子宮内膜症)、直腸膣瘻発生のリスクが高くなってしまうので、術前に患者さんと十分ディスカッションする必要がある。

*)直腸の解剖学的分類 Rs, Ra, Rbについて
Rs = 岬角(第1仙椎上縁)から第2仙椎下縁まで
Ra = 第2仙椎下縁から腹膜翻転部まで
Rb = 腹膜翻転部よりも肛門側の直腸

★その11

直腸腟瘻は普通かなり低位(つまり膣のほうにまで子宮内膜症が及んでいる)の子宮内膜症を切除しないかぎり発生する可能性は低い。

瘻孔ができるということは膣から便が出てくるということだ。大変、不愉快である。これを治すためには、一時的に絶食にして瘻孔が閉鎖するのを待つか、手術をするかだ。しばらく絶食にして閉じてしまうのなら問題ないが、手術が必要になるケースも多い。実は・・・内視鏡手術で治せるのだ。

直腸腟瘻ではないが、四谷メディカルキューブの金平永二先生が尿道直腸瘻をTEMという手技(経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー)で手術し紹介している。

すごい!これで治るのだ!

また、直腸腟瘻(ただし、内膜症手術後ではなく子宮全摘後)の腹腔鏡下による修復もthe Trocarというウェブサイトで紹介されていた。ただ、現在は消去されてしまっているようだが。

まあ、とにかく、決して起こって欲しくはない合併症なのだが、最近は内視鏡下で十分治療できるようになっているのだ。

★その12

前回まで直腸手術の合併症について述べてきた。これらの多くは稀であり、普通の重症子宮内膜症の手術ではほとんど起こらない。広範な剥離操作とラジカルな切除をするのだから、術後の癒着はどうなんだろう?という疑問もあるだろう。

実際どうなのか?ある程度は癒着しているようだ。もともと癒着しているところを剥がすのだから、再度癒着してしまうのはやむを得ない。ただ、子宮と直腸はよく癒着するものの、卵巣、卵管の周辺はあまり癒着しないようだ。骨盤側壁の子宮内膜症を切除したときも卵管、卵巣の癒着は比較的少ない。(とC.H.Koh, Grace Janikは言っている)

術後の癒着よりは子宮内膜症を放置して癒着や炎症が進行していくことのほうが問題だと思う。

術後癒着の対策は術者にとっては大きな問題だ。現在でも多くの癒着防止剤が出ているのだが、完全に癒着を予防できるものはない。今後も進歩していくことが期待される。

★その13

直腸子宮内膜症は切除する必要があるのか?切除しなくてもいいのか?

その気になれば、薬物療法(GnRHa+add backや低用量ピル)で長い間、子宮内膜症病変を眠らせておくことはできる。下手な手術を受けるくらいなら、延々と薬物療法を続けるほうがいいのかもしれない。

腹腔鏡下手術で丁寧にできるだけ病変を切除してQOLを最大限にすることもできる。放置すれば病状は進行していく。また、子宮内膜症の悪性化は今後の検討課題であるが、決して無視できる問題ではない。

直腸病変にしろ、その他の部位の子宮内膜症病変にしろ、医師と患者が術前に十分なディスカッションをすることが必要である。最善の治療はその結果得られるのだと思う。答えは一つではないのだ。

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