卵巣嚢腫とは?

卵巣に液状の成分がたまって腫れているものです。ただし、生理的に大きくなったもの(卵胞や機能性の嚢胞)と異なり、外壁を構成する細胞が腫瘍性であり、内容液は腫瘍細胞から分泌されて貯留する液状成分です。一般に卵巣嚢腫と言われるものは次のものです。漿液性嚢胞性腺腫粘液性嚢胞性腺腫類皮嚢腫(成熟嚢胞性奇形種)腫瘍の成分には皮膚組織、毛髪、皮下脂肪、皮脂、骨、軟骨、歯、甲状腺組織などが含まれています。その他、子宮内膜症による卵巣チョコレート嚢胞も非腫瘍性のものですが卵巣嚢腫に含まれます。

症状

一般的に無症状であることが多いのですが、茎捻転を起こすと非常に強い痛みを起こすことがあります。茎捻転を起こしていなくても腹痛、腰痛があったり自分で腫瘤を触知することがあります。卵巣チョコレート嚢胞の場合には、子宮内膜症の合併により月経痛が強くなることがあります。

診断

一般的に婦人科を受診したときに内診やエコーで発見されることが多いようです。画像診断は腫瘤を診断するためにおこなわれます。(どのような腫瘍か、良性か悪性かなど)

治療

将来的に妊娠を希望する場合、30代までの女性の場合は一般的に卵巣腫瘍のみを核出し卵巣の正常部分を温存するようにします。茎捻転により卵巣が壊死になっている場合、悪性の可能性が否定できない場合、40〜50歳以降の女性の場合には片方の卵巣を全摘することがあります。術前に良性腫瘍と思われる場合には、最近ではほとんどのケースで腹腔鏡下手術でおこなわれています。

腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術-体内法(Laparoscopic ovarian cystectomy)

卵巣嚢腫の核出、止血、必要時に縫合を体腔内で行う手術法で、日本では“体内法”と呼ばれています。腫瘤は袋に入れて回収されます。腹腔鏡ですべての手術操作を行うため、熟練していないと時間がかかったり出血が多くなることがありますが、切開が小さく術後の痛みが少なく、回復も早いという利点があります。

腹腔鏡補助下卵巣嚢腫核出術-体外法(Laparoscopically assisted ovarian cystectomy)

卵巣嚢腫の内容液を吸引し、2-3cmほど切開した術創より卵巣嚢腫を体外に引き出し核出、止血、縫合を行う手術です。複雑な腹腔鏡下手術操作を必要としないので、初心者でも比較的容易にできます。また、大きな卵巣嚢腫で体内法では困難と思われるようなケースの場合には有用です。ただし、傷が若干大きくなるので手術侵襲は大きくなってしまいます。

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